政府(経済産業省)は、2023年2月14日、令和5年度4月1日以降の新車新規登録を対象とする当初予算「クリーンエネルギー自動車(CEV)導入促進補助金」を公表した。
減額措置となる新要件、上限金額を得るための新たな要件が今回の変更点となる。
みなさんが、EV(電気自動車)PHEV(プラグインハイブリッド車)FCV(燃料電池自動車)をお得に購入できる一助になれば幸いだ。
クリーンエネルギー自動車(CEV)導入促進補助金の動向と内容

補助金の動向 95万円から85万円と減額に!
新車新規登録日 | 最大補助金 | 理由 |
令和3年年4月〜 | 60万円 | クリーンエネルギー促進など |
令和3年11月〜 | 80万円 | 外部給電機能を対象 |
令和4年3月〜 | 85万円 | 燃料高騰対策として |
令和4年4月〜 | 95万円 | クリーンディーゼル対象に 高度運転支援技術を対象に |
令和5年4月〜 | 85万円 | 補助対象から対象外への要件を2つ採用 補助上限額を維持するも要件を追加 高額車両へは係数0.8を乗じる減額を導入 |
令和4年11月8日以降に新車を新規登録した車両へは、3月下旬に申請受け付けが開始される。
クリーンエネルギー自動車(CEV)導入促進補助金とは?
経済産業省によるとこの補助金は、
「2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、環境性能に優れ、災害時にも非常用電源として活用可能な車両について、需要創出及び車両価格の低減を促すことが目的」
としている。
補助金の対象要件について
補助対象となる車両概要
対象となる車両概要は、下記の通り3つ。
- 電気自動車(EV)
- プラグインハイブリッド車(PHEV)
- 燃料電池自動車(FCV)
- クリーンディーゼル車(令和4年4月から)
→令和5年4月から対象外に
など
*補助金は、国産車、輸入車問わず支給対象となる。
補助対象となる者
前述の補助対象車を購入する
- 個人
- 法人
- 地方公共団体
が補助金を受けることができる。
注意
- 地方公共団体が設ける補助金制度と同時に申請可能
- リース契約で車両を所有する場合は受給不可(リース会社に受給権利あり)
→その分、料金が安くなることが期待できるが、、。
申請すべき期間
令和4年11月8日以降に、新車新規登録を行った車は、下記の期間から補助金の申請ができる。
令和5年3月下旬より申請の受け付けが開始されている
1ヶ月間での申請を交付条件とするなど条件あり
詳細:一般社団法人次世代自動車振興センター

注意
※予算により打ち切りあり
※変更の可能性あり(補助金政策更新)
*要件追加
*高額車両の減額
補助金を受けるなら災害時には協力への理解を

外部給電機能を備えている電気自動車、プラグインハイブリッド車、燃料電池自動車は、災害時に非常用電源として活用できる。
具体的にトヨタの車を例に説明すると、
- 「AC100V・1500W」コンセントであれば、炊飯器、電子レンジなどが使用可能
- 「DC外部給電システム」を搭載する車両であれば、自宅などへ電力を供給し幅広い家電製品などを駆動可能
となる。これらの機能により、車が命を救ってくれる可能性があるわけだ。
使用機器の一例は、下記の通りで、かなり幅広い家電製品を使用可能とする。
メモ
- 炊飯器:1200W
- スマートフォン充電:10W
- コーヒーメーカー:660W
- LEDライト:100W
- ラジオ:50W
*概算で記載
このことから、経済産業省は、補助金を支給する申請者に対して、
「地域で災害等が生じた場合、可能な範囲で給電活動等に御協力いただく可能性があります。」
と協力への理解をお願いしている。
補助金を受けるなら、この事項をしっかり理解しておきたいところだ。こういった国の方針もあり、外部給電機能を搭載する車両は、次の通り補助金が少し優遇される。
補助金の上限金額は?条件と減額も
補助金の上限額
対象車の補助金は、次の通り上限設定される。
対象車概要 | 補助金の上限額 |
電気自動車 | 65万円 |
軽電気自動車 | 45万円 |
プラグインハイブリッド | 45万円 |
燃料電池自動車 | 230万円 |
超小型モビリティ | 25万円(個人)、35万円(サービスユース) |
クリーンディーゼル (令和4年度登録車対象) | 15万円 |
2022年4月から新たにクリーンディーゼルエンジン採用車両が補助金対象に加わった(2020年度基準達成かつ2030年度基準60%達成車のみ)。
令和5年4月以降から、クリーンディーゼルは対象外。
外部給電機能などを持つと補助金は増額される
次の要件「上乗せ要件」いずれかを満たす車両は、上限金額が増加する。
- 車載コンセント(1500W/AC100V)を搭載し給電機能がある車両
- 充放電設備を経由して電力を取り出すことができる車両
- 省エネ法トップランナー制度の2030年度燃費基準の対象となる車両(型式指定自動車)
*現在において、エネルギー効率が最も優れたEVまたはPHEVの車を指す
*令和5年3月末までに新車登録の場合は、AかBを満たすと増額の対象。
*令和5年4月以降に新車登録の場合は、AかBを満たし、Cを満たすと増額の対象。
*FCVまたは超小型モビリティは、期間にかかわらず、AとBを満たすと増額の対象。
対象車概要 | 増額した場合 補助金の上限額 |
電気自動車 | 85万円 |
軽電気自動車 | 55万円 |
プラグインハイブリッド | 55万円 |
燃料電池自動車 (FCV) | 255万円 |
超小型モビリティ | 35万円(個人)、45万円(サービスユース) |
これにより、外部給電機能を搭載する日産アリア、トヨタbZ4Xなど国産車の補助金が、優遇される傾向となる。輸入車は外部給電機能を持たない車が多い。
災害に備える狙い、日本の国産車を優遇するため上記の条件が設定されたか。
しかし、車両本体の価格が高額な車両にも一律で補助金を支給するのには、否定的な考えをYUSAは持っていた。YUSAはYouTubeでも、補助金の課題に対して課題を発信してきた。EV再生リストを参照。
高額車両は減額となる
令和5年度の補助金は、こういった補助金に対しての声を受けて、減額の要件を追加。
EV, PHEV, FCVで、メーカー希望小売価格(税抜)が840万円以上の車両は「高額車両」とし、算定された補助額に価格係数0.8を乗じることで、減額するという要件を追加。
*減額措置を設定し、自動車メーカーに車両価格の低減努力を促す目的
そして、上記の高額車両は、下記の補助金となる。
対象車概要 | 高額車両の補助金 |
電気自動車 (増額なし) | 52万円 |
電気自動車 | 68万円 |
プラグインハイブリッド (増額なし) | 36万円 |
プラグインハイブリッド | 44万円 |
燃料電池自動車 (増額なし) | 184万円 |
燃料電池自動車 | 204万円 |
高度運転支援技術を備えた車両は補助金が最大10万円も増額となる
下記の内容「高度運転支援」は、令和4年度新規登録車のみ。令和5年度4月以降は、対象外となる。
さらに、令和4年度からは、「特に高度な安全支援技術を備えた車両」を対象として、補助金が増額される(追加補助)。
条件 | 対象条件・車両内容 |
対象車両 | 電気自動車、プラグインハイブリッド車、燃料電池 *ディーゼル対象外 |
① | 高精度な位置特定技術 |
② | OTAによって運転自動化システムの安全性確保に資するアップデートができる機能 |
③ | 路車間・車車間通信機能などを備えている |
①②を備えた車両については7万円、機能①~③全てを備えた車両は10万円が追加補助される。
これにより、令和4年度当初予算「クリーンエネルギー自動車(CEV)導入促進補助金」では、
EV→最大95万円の補助金受給が可能になった。
高度運転支援の対象になる車両は?


車種 | 該当条件 | 補助金額 |
アリア | ①② | 7万円 |
bz4x | なし | 0円 |
MIRAI | ①②③ | 10万円 |
NX 450h+ | なし | 0円 |
モデル3 | なし | 0円 |
日産アリア、トヨタMIRAIは、下記の高度な運転支援を採用する。
ポイント
- アリア:プロパイロット 2.0(自動運転レベル2:ハンズオフ機能)
- アリア:プロパイロット(ナビリンク機能付)
- アリア:あらかじめ進入速度を調節する「ジャンクションスピード制御」
- MIRAI:Advanced Drive(自動運転レベル2:ハンズオフ機能)
- MIRAI:Advanced Drive(無償アップデートサービス)
これらが評価され、補助金の増額条件を満たしたということになる。
よって、日産アリアでは、CEV補助金が92万円となる。(令和4年度登録車のみ)
人気のEV・PHEVの実質負担額はいくら?

全長3434mm×全幅1512mm×全高1644mm

令和5年度CEV補助金を受給した、ユーザーの実質負担額。上位グレードで記載。
車種 | 車両価格(万円) *一部グレードのみ記載 | 補助金(万円) *一部グレードのみ記載 | 実質負担(万円) *一部グレードのみ記載 |
アウトランダーPHEV | 483 | 55 | 428 |
CX-60 | 626 | 55 | 571 |
NX 450h+ | 670 | 55 | 620 |
UX 300e | 527 | 85 | 442 |
アリア | 490 | 85 | 405 |
リーフ | 436 | 85 | 381 |
サクラ | 294 | 55 | 239 |
bZ4X | 590 | 85 | 505 |
MIRAI | 781 | 145 | 636 |
RAV4 PHEV | 563 | 55 | 508 |
ハリアー PHEV | 620 | 55 | 565 |
プリウスPHEV | 460 | 55 | 405 |
モデル3 | 580 | 65 | 515 |
Q8 | 1159 | 52 | 1107 |
詳細は経済産業省PDFへ
・補助対象車両ごとの補助金額(1)(車両登録日:R4.11.08~R5.03.31)
・車両登録日:R5.04.01以降(上記表一部参照元)
この他の対象車両と充電設備については下記参照
・補助対象車両・充電設備について
筆者:YUSAの意見
個人的には、高額車両のEV補助金には否定的だ。中古車として流通する電動車にも補助金を支給し、誰もが電動車を購入できるよう設定すべきと考える。これにより、電動車の課題であるリセールバリューも改善が期待でき、現状以上に普及が期待できる循環が起こるであろう。
経済的に余裕のない消費者も補助金の恩恵を受けられる在り方を考えるべきだ。一方向から、やり続けるのではなく、あらゆる方面から戦略的に進めていくべきと考える。
また、インフラの普及にも早く本腰を入れるべきだ。購入を力強く促進して所有させても、今の環境ではアンチEVオーナーを増やすだけで意味がない。EVオーナーを増やして満足してもらい、初めてEVの普及成功となるわけで、これをゴール地点として目指さなければ、産業廃棄物を税金を使用して増やしているだけと言える。
この他、各自治体では電動車を優遇する
自動車税の完全なる免税
例えば、東京都や愛知県、大阪府。電気自動車、プラグインハイブリッド車、燃料電池自動車を新車で購入すると、最大6年間の自動車税免税措置が用意される(2022年4月時点)。
他の多くの自治体においても、同措置を確認している。「都道府県名 自動車税 EV・PHEV」とGoogleで検索し、各自で確認していただきたい。
この他にも強力な補助金を採用する自治体が存在!東京都では最大75万円を支給へ!

さらなる補助金を支給する自治体も存在している。
例えば、東京都。「FCV・EV・PHV車両(燃料電池自動車等の導入促進事業・電気自動車等の普及促進事業)」にて、
- EV最大:60万円
- PHEV最大:60万円
- FCV最大:135万円
を支給する。
🔻令和5年2月🔻情報更新!!
東京都は、昨今の電力危機に対応するため令和4年度補正予算の提出予定を発表。
大きく変更される旨が新たに公表された。(閣議決定後7月にも実施予定)
1.EV最大:60万円→75万円
具体的な金額は、下記の通り。
*令和4年4月1日以降初年度登録分の車両から適用予定
補助対象 | 個人(万円) | 事業者(万円) |
EV | 45 | 37.5 |
EV:再生エネ | 60 | 50 |
EV:太陽光発電設備導入 | 75 | 62.5 |
PHEV | 45 | 30 |
PHEV再生エネ 又は太陽光発電設備導入 |
60 | 40 |
2.V2H(ビークル・トゥ・ホーム)補助(新規のみ)
*おおよそ100万円ほどの導入費用がかかる
補助対象 | 補助金の割合 |
V2H単独導入 | 2分の1補助 |
EV&太陽光発電&V2H 3つを併せて導入 |
全額 |
V2Hとは、EV・PHVの電池に充電された電気を住まいとやりとりするシステム。災害時の非常用電源として活用可能なものである。
導入に100万円費用がかかれば、100万円の補助が受け取れる。
東京都民は最大EV補助金が165万円が受給できる。(CEV補助金85万円と同時にて)。
さらに、V2Hの導入補助が設けられるという内容になる。
🔻最大補助金🔻
三菱アウトランダーPHEV:115万円
日産サクラ:130万円
トヨタbz4x:160万円
など
車両価格と最大補助金の金額、そして実質負担の金額は下記の通り。
車種 | 車両価格(万円) *一部グレードのみ記載 | 補助金(万円) (東京都+CEV補助金) *一部グレードのみ記載 | 実質負担(万円) *一部グレードのみ記載 |
アウトランダーPHEV | 483 | 115 | 368 |
サクラ | 294 | 130 | 164 |
bZ4X | 590 | 160 | 430 |
あなたの町の補助金は?
一般社団法人次世代自動車振興センター:全国の地方自治体の補助制度・融資制度・税制特例措置
動画を見ていただくことで、より理解を深めることができる。お時間のある方は、ぜひ見てほしい。
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