2021年に発売されたトヨタの大人気SUVヤリスクロスとカローラクロス。現在、大人気のコンパクトSUVで、ヤリスクロスを4日間、カローラクロスを3日間試乗してきた。いくつかの違いが感じられたので、走行比較をしていく。
各項目において◯✕判定をし、最終的にどちらを買うべきか結論付けていくので参考にしてほしい。
価格とグレードについて
ヤリスクロスはガソリンとハイブリッドエンジンの2種類のパワートレインがあり、グレード構成はハイブリッドのほうでX・G・Zの3種類の展開となっている。価格は2,284,000円〜2,815,000円で販売されている。
これに対してカローラクロスもガソリンとハイブリッドエンジンの2種類のパワートレインがあり、グレード構成はハイブリッドのほうでG・S・Zの3種類の展開となっている。価格は2,590,000円〜3,199,000円で販売されている。
どちらの車両も納期が半年以上になるほどの人気を集めている。
加速感について
価格の近いハイブリッド同士で比較をしていく。
ヤリスクロス | 直列3気筒1.5Lエンジン |
最高出力 | 120PS/6,600rpm |
最大トルク | 145Nm(14.8kgf・m)/4,800〜5,200rpm |
モーター最高出力 | 80PS(59kW)/4,000〜8,000rpm |
モーター最大トルク | 141Nm(14.4kgf・m) |
従来のトヨタハイブリッドシステムはもたつくイメージが強くあったが、トヨタが長年改善を繰り返した2モーター式のハイブリッドシステムだけあり、低速域からのなめらかな加速から燃費性能はトップクラスとなっている。
強い加速は得意としないが、信号停止から常識的に加速を行うシーンや低速域でのギクシャク感のない滑らかな世界観は非常に魅力的だ。ただ、強い加速力は期待できず、追い越し車線をたくさん走る人はハイブリッド車ではなくガソリン車をオススメしたい。
カローラクロス | 直列4気筒1.8Lエンジン |
最高出力 | 98PS/5,200rpm |
最大トルク | 14.5kgf・m/3,600rpm |
モーター最高出力 | 72PS |
モーター最大トルク | 163Nm |
カローラクロスに搭載されるシステムは、C-HRなどから引き継いだシステムなので目新しさはない。スペック上はとくに光る部分もなくPRする点もないので、普通の車と言える。
カローラクロスの場合はエンジンとモーターが共に補い合い強い加速を発生させている。低速の状態から常識的にアクセルを踏み込んだ場合に関しては40〜50km/h付近までモーターだけで加速することも可能である。
ハンドリングについて
ヤリスクロスのハンドリングは素晴らしいと言える。センターがズバッと通っていて、高速道路を走行しているときはハンドルに手を添えているだけでしっかりと真っ直ぐ走行してくれる。コーナーではステアリング剛性を感じられ、安心感がある。低速域でのハンドリングも絶妙で、女性でも軽々と片手で回すことができる。
これに対してカローラクロスはSUVらしい四角いボディ形状であり、ほとんどハンドリングには期待していなかったが、期待を裏切る素晴らしい仕上がりとなっていた。カローラクロスもボディ剛性がしっかりとしていて、走行性能に注力したC-HRと似たフィーリングを持ち、コーナーを楽しみながら走ることができる。
ドライビングポジションについて
ヤリスクロスのハンドルは、チルト・テレスコでの前後上下調整に対応している。さらにパワーシートも採用されているため、ドライバーの体格に合わせて最適なポジションをつくることが可能だ。
カローラクロスのハンドルも、前後上下の位置調整に対応している。パワーシートも採用されているため、ヤリスクロスと同様に最適なドライビングポジションがつくれるだろう。違いとしては、パワーシートの操作音がヤリスクロスは大きく、カローラクロスは静かなものとなっている。しかし、ヤリスクロスも車両価格が250万円ながらパワーシートを採用している点は評価が高いと言えるだろう。
運転視界について
ヤリスクロスは、コンパクトカーのヤリスより車高が高く見通しが良好だ。それでも車高が1,590mmとSUVのなかでは低めなので、初めてのSUVでも違和感は少ないだろう。しかし、Aピラーの根元付近に空力処理をするパーツを配置しており、交差点などの安全確認においては死角の原因となっていて非常に邪魔に感じた。
これに対してカローラクロスは、車高が1,620mmとヤリスクロスより30mm大きいため、運転視界も非常に開けていてとても運転がしやすい車となっている。Aピラー周辺の視界もしっかりと確保しており、死角が少なく安全確認がしやすい点が高評価である。
乗り心地について
ヤリスクロスはTNGAボディを採用している。SUVとは思えないしっかりと安定感のある走りで、高速道路を走行していてもグラつくような挙動がなく安心感があった。また、高速コーナーでもサスペンション剛性がしっかりとした車なので、車が変に傾く挙動がないのも特徴だ。
これに対してカローラクロスは、とても質感が高い乗り心地を実現していてかなり驚きだ。カローラクロスはFFの車両で部品点数が少なく、コストの安いトーションビーム式を採用している。ヤリスクロスと同じサスペンションの機構となっている。
トーションビーム式は、片方が受けた路面の凹凸などが車両に対して大きく影響するデメリットがある。しかし、両車とも高いレベルの乗り心地をしっかりと確保していて、とくにカローラクロスは衝撃を吸収する新開発のブッシュをサスペンションに採用しているため、非常に車が落ち着いていて靭やかな動きを確保している。
静粛性について
両車とも250万円〜300万円前後の車両価格になるため、ある程度許容しなければならない点は当然ある。ヤリスクロスは一般的なコンパクトカーよりも静粛性はやや高め。剛性感優れたTNGAを採用した恩恵が感じられ、ロードノイズをカットしている印象はしっかりと感じられる。ただし、路面が荒れるとたちまちロードノイズが車内に入ってくる。本体価格258万円という点を考慮すれば、このくらいではないかという印象だ。
カローラクロスもボディ剛性をしっかりと確保しており、高速道路のつなぎ目を乗り越えるようなシーンや一定速度で巡航するシーンでは、コンパクトSUVではトップクラスに静かな車と言える。荒れた路面を走行しているときも、静粛性を一定のレベルで確保した車である。
安全・先進装備について
ヤリスクロスは、トヨタセーフティセンス第二世代を搭載している。電動パーキングを搭載しており、クルーズコントロールは全車速対応である。渋滞で低速のときも車両が停止保持を行なってくれる。また、車線中央をキープするレーントレーシングアシストも装備しており、全車速対応となっているため、渋滞中のそうこうでも ハンドル支援に対応してる。
ほかにもアダプティブハイビームシステムやヘッドアップディスプレイなどをオプション設定としており、非常に充実した先進装備の内容となっている。
対してカローラクロスも現代車として不足のない内容となっている。クルーズコントロールや全車速対応のハンドル支援が装備されている。しかし、緊急時操舵支援機能やプリクラッシュブレーキなど、歩行者との衝突回避を図る安全先進装備は搭載していない。
燃費について
ヤリスクロスは、ハイブリッドFF車でWLTCモードの燃費性能が27.8km/Lと、非常に高い燃費性能を誇っている。
これに対してトヨタハイブリッドシステムTHSⅡを搭載するカローラクロスは、WLTCモードで26.2km/Lとなっている。ボディが大きいながらも優秀な燃費数値と言えるだろう。
どちらを買うべきか?
ヤリスクロス | カローラクロス | |
加速感について | ✕ | ◯ |
ハンドリングについて | ◯ | ✕ |
ドライビングポジションについて | ◯ | ◯ |
運転視界について | ✕ | ◯ |
乗り心地について | ◯ | ◯ |
静粛性について | ✕ | ◯ |
安全・先進装備について | ◯ | ✕ |
燃費について | ◯ | ◯ |
合計 | ◯5つ | ◯6つ |
以上のように、ヤリスクロスが◯5つでカローラクロスが◯6つという結果となった。ご覧の通り、非常に激戦な走行比較となったので参考にしてほしい。
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