トヨタの高級車を超えている高級感、上質感、先進感を持つといわれているフルモデルチェンジ版の新型プリウス。1月10日に発売を開始して、トヨタの販売店では展示車の展示が始まった。
かなり車の魅力が高い1台に仕上がっている印象だ。SNS上では高級セダンのカムリを超えているのではないか、また、高級セダンのクラウンを超えてしまっているのでないかといった噂が出ている。
今回はトヨタの人気車として発売しているセダンの新型プリウスハイブリッドと高級セダンのカムリハイブリッドについて詳しく比較をしていく。
価格
大型セダンの高級車であるカムリは、プリウスよりも全体的なグレード展開の車両本体価格60万〜80万円程度高い車両本体価格で販売されている。
上位グレードであるWSレザーパッケージの車両は、本体価格が448万円。
それに対して新型プリウスの上位グレードZの車両は2リッターハイブリッドシステムを搭載しており、370万円で販売される。
車両本体価格は新型プリウスよりカムリのほうが約70万円程度高いということになる。
カムリは高級セダンという位置付けで販売されているため、見積もりの支払い総額は500万円前後になる。
ただ、発売の時期がプリウスに比べてかなり前になるので、車の質感や先進感などの完成度の部分で変わってくるだろう。
車両サイズ
高級車カムリはアメリカ向けに注力されている販売車両でサイズは非常に大型だ。全長4,910mm×全幅1,840mm×全高1,445mmとなっている。
対して新型プリウスは全長4,600mm×全幅1,780mm×全高1,430mmとなっていて、低くなった全高サイズはもちろん全長、全幅ともにカムリのほうが全てにおいて大きいサイズである。
ハイブリッドシステム
カムリは直列4気筒2.5リッターハイブリッドシステムを搭載しており、エンジンの出力が178馬力、モーターのハイブリッドの出力が120馬力となっている。
対して新型プリウスのハイブリッドシステムは直列4気筒2リッターハイブリッドシステムを搭載しているので、排気量はカムリのほうが大きい。
さらにエンジンの出力はプリウスが152馬力とカムリのほうが20馬力程度大きく、ハイブリッドのモーター出力もプリウスは113馬力となり、カムリのほうが大きいことがわかる。
ただ、出力はプリウスのほうが小さいが車両重量はプリ数のほうが軽いので、走り出しの印象などはプリウスのほうが力強い印象がありそうだ。
そして信頼性の高いwltcモードでの燃費数値を比較。カタログ数値だとカムリが24.3km/L、プリウスが28.6km/Lと4km/L前後プリウスのほうが燃費が良いということになる。
大型の高級セダンであるカムリも意外と燃費数値が優秀であると感じた。
フロント
カムリはハイブリッド車両だが、ガソリン車のように大きなフロントグリルを配置して迫力を表現している。高級セダンらしい顔付きである。
これに対してフルモデルチェンジ版新型プリウスは、トヨタの新しいコンセプトデザインを採用していて、コの字型のヘッドライトが特徴的。EVの車に近いデザインでフロントグリルを極力排除しているとてもスッキリとしたデザインだ。
さらに今回のプリウスはスポーティーセダンを意識したデザインを持っているため、Aピラーやボンネットが強く前傾してるスタイルが特徴的。
サイド
カムリは高級セダンということもあり、非常にオーソドックスなスタイルを持っている。近年はクラウンがクロスオーバー化したりコンパクトSUVが流行っているので、これはこれで希少な車だといえる。
変にクーペスタイルを持たないTHE・セダンという形は、刺さる人には刺さるデザインだろう。ホイールは18インチのアルミホイール採用に留まる。プリウスが19インチアルミホイールなので、少し物足りない印象ではある。
ただ、高級セダンだがタイヤ交換の費用が高くならないというのはメリットともいえる。
対してプリウスのサイドデザインは、非常にスポーティーで特徴的なシルエットを持っている。強く前傾したAピラーや小さなサイドの窓、そしてクーペスタイルを持ち、風をきれいに受け流すことができるようなリアガラスのデザインが特徴的だ。
また、サイドスカート部分はえぐりを持って風をきれいに受け流すデザインも採用されている。さらにタイヤ周りのフェンダー部分にピアノブラック塗装が施されており、SUVのような印象を受けるデザインも持っている。
プリウスは19インチアルミホイールを採用。カムリよりも1インチサイズが大きく、非常に足元は迫力のある完成度の高いデザインだ。
リヤ
カムリはオーソドックスなセダンのデザインとなっていて、テールランプも一般的なデザインとなっている。今回の車両は上位グレードなのでバンパー部分のデザインも非常に凝っているが、片側2本出しのマフラーデザインは残念なポイントである。
対して新型プリウスは、近年トヨタが取り入れている先進的な一文字のLEDライン発光を採用していて、ワイド感を強調するデザインが確認できる。
カムリとは違ってスポイラーのデザインも非常に一体感があり、風をきれいに受け流す印象を受ける。
バンパーも非常にシンプルなデザインで、艶ありブラック塗装でバンパー部分にメリハリをつけるような塗装の切り替えをおこなっている。マフラーは見えないデザインとなっている。
高級感
カムリは高級車を意識したデザインを採用している。設計のデザイン自体は、発売が古いため先進感に欠けるところはあるが、全体的に合成皮革やソフトパッド、ステッチ加飾を使っていて、上質感や高級感はしっかり感じられる。
しかし、プリウスや最近の車両と比べると、メーターデザインやセンターディスプレイなどのデザインは古臭く感じるところがある。シフトレバーも一般的なデザインで、時代を感じるポイントである。
対してプリウスは、先代のモデルと比べると非常に質感や先進感を向上したデザインになっている。
ただ、運転メーターはハンドルとかぶるデザインなので、カムリのほうが良いと感じた。
また、ダッシュボード上の部分やドア内張りの上の部分、ハンドル周りはハードプラスチックが目立つ印象なので、カムリと比べると高級感が少し低くなる印象である。
しかしカムリよりも70万円も安い価格でありながら、夜間のアンビエントライトや先進的でコンパクトなシフトレバー、無接点充電、12.3インチの大型ディスプレイなどをZグレードでは標準装備にしているので、非常に優れているポイントだと感じる。
先進感はプリウスに感じるが、高級感はカムリのほうが優れている。
利便性
プリウスはドリンクホルダーを横置きに配置しているため、ドリンクホルダーの利便性はとても高い。しかし、他の部分ではカムリが全体的に優れている。
カムリは運転メーターが見やすかったりシフトレバーの操作がしやすかったり、ダッシュボードが広かったりなど利便性が高い印象があった。
対してプリウスはリアのバックドアにパワーバックドアを採用したり、12.3インチの大型ディスプレイを採用したりなど、先進的な使いやすさがある。しかし、特徴的なデザインのため利便性は低いと感じる。
快適性
プリウスはAピラーを傾斜させて全高を低くしているので、乗り降りが若干しづらい印象がある。とくに後席の閉塞感は強いものがあったので、室内の快適性は大型セダンのカムリのほうが優れている。
カムリはTNGAプラットフォームのGA-Kを採用していてハリアーなどと共通しているため、後席の膝前空間がげんこつ2個分くらい入る広さがある。
対してプリウスはげんこつ1つ入るか入らないかくらいのスペースであり、狭さが感じられる。さらに窓が小さいので扉を閉めたときの閉塞感は強いものがある。
快適性ではカムリが圧勝だ。
どっち買うべき?
正直、最初は新型プリウスを買うべきという結論にしようと思っていたが、カムリにもしっかりと良い特徴が感じられた。
オーソドックスなセダンスタイルで渋くかっこいいデザインがご高齢の人を中心に似合う印象がある。
クラウンがクロスオーバー化して変な車になってしまい、プリウスも特徴的なボディスタイルを持っているので、オーソドックスな利便性の高いセダンの車がまだ残っているのはありがたいといえる。
対して新型プリウスはやはり先進的な魅力が一番のポイントである。新しいトヨタの設計を取り入れたデザインで、一文字のテールランプや特徴的なヘッドライトのデザイン、フロントフェイス、さらに強く前傾したAピラーのスポーティーなスタイル。
インテリアにはアンビエントライト、トヨタ初のイルミネーション通知システムを採用。さらに運転メーターも特徴的で12.3インチのワイドディスプレイも装備されている。
加えて安全先進装備もトヨタでもっとも充実した車となっており、新型プリウスはあおり運転にも対応できる安全先進装備を搭載している。
車のサブスクサービスであるKINTOでは、新型プリウスが現在3ヶ月程度で納車されているようだ。トヨタの販売店で購入すると1年〜2年待ちという非常に長い納期となっているが、KINTOなら非常に早い納車が期待できる。
新型プリウスはかなり特徴的な車なので、若い人には向いている。乗り降りしやすい楽な車を求めるならカムリという選択がおすすめである。